高野山II|秋の奥之院を描いた水彩画41作目(F10)― 紅葉と祈りに包まれる“心が整う風景”
はじめに:なぜ私は高野山を2度描いたのか
今回ご紹介する 水彩画41作目「高野山II」 は、F10サイズ(530×455mm)の大きな作品です。
実はこのモチーフは 33作目(F4)の再構成であり、同じ題材を改めて描いたものです。
高野山という場所は、一度訪れただけでも心に強く残る“何か”があります。
それは美しい紅葉でも、荘厳な寺院でもなく、
時間そのものがゆっくりと流れているような静けさです。
その静寂の余韻が忘れられず、
「もっと広い画面で、この風景の“奥行き”を表現したい」
と思ったことが、F10で描き直すきっかけとなりました。
作品概要:水彩画41作目「高野山II」
作品名:高野山II
サイズ:F10(530×455)
テーマ:高野山・奥之院の参道付近/紅葉と静寂の空気感
モチーフ:33作目の構図をもとに再構築
33作目は「旅先の印象を形にした一枚」でしたが、
41作目では “空気の層” を描くこと がテーマになっています。
霧が漂う早朝、杉の大木が列をなす参道、
そして奥に見える淡い紅葉――。
目に見える形だけでなく、
「今、この場所にある気配」まで筆に込めた作品です。

高野山は“風景”ではなく“祈りの場”
高野山は世界遺産として知られ、観光地としても人気ですが、
その本質は 「1200年続く祈りの現場」 です。
特に奥之院では、
弘法大師・空海へ捧げる 「生身供(しょうじんく)」 が、
途切れることなく 毎日2回 行われ続けています。
私は初めてこの儀式を知ったとき、
時の重さ、その場に込められた祈りの深さに心を揺さぶられました。
行ったことのない方のために、参考動画を添付します。
(※YouTubeより)
→ 【世界遺産】ついに、高野山の最奥へ・・・奥之院・弘法大師御廟
この“時を超えた営み”こそ、
私が高野山を何度も描きたくなる理由かもしれません。
制作過程:色の呼吸を重ねる技法
●杉並木の奥行きをどう描くか
杉の木立は暗い色を使いがちですが、
今回は 黒を使わず、青系とグレー系で調整し、柔らかさを残しました。
遠くの木は水分量を増やし、
手前は筆圧を少し強めることで立体感を出しています。
● 紅葉の“淡い光”を表現
紅葉は派手に塗ってしまうと浮いてしまいます。
そこで、
・蛍光レモン(光の透過色)
・朱色
・黄土色
を“呼吸するように”薄く重ね、奥の光を感じる色調にしました。
●霧の表現
霧は水彩の得意分野。
乾かしすぎず、濡らしすぎず、
紙の上で水分が“にじむ適度なタイミング”で色を落とします。
これにより、
境界のない空気感=高野山の静けさを作ることができます。
旅の記憶:2018年に見た「一瞬の光」
私が高野山を訪れたのは 2018年9月。
紅葉には少し早い時期でしたが、
それでも山の上では赤く染まり始めた葉がいくつもありました。
バスの車窓から見た、
霧の中に差し込む淡い光――。
「この一瞬を、絵に残したい」
そう思った瞬間が、33作目のスタートであり、
41作目を描くことにつながりました。
高野山の魅力:これから行く方へのガイド
● 奥之院(絶対外せない)
・日本最強レベルのパワースポットと評される
・空気の静けさが別世界
● 金剛峯寺
・障壁画が美しい
・堂内の静寂が深い
● 壇上伽藍(だんじょうがらん)
・根本大塔の朱色が鮮烈
● おすすめ動画(YouTube)
・高野山の基礎知識(歴史じっくり紀行)
・高野山観光おすすめスポット完全攻略
・生きている天空の聖地・高野山(ドキュメンタリー)
観光前に見ておくと、旅の深みが全く変わります。
現地マップ:高野山奥之院
41作目を描いて気づいたこと:
❝描くことは祈りに似ている❞
筆を動かす時間は、
心が整っていく時間でもありました。
高野山の空気を思い出しながら描いていると、
まるで心の中が掃除されていくようで――
作品を描く行為そのものが“祈り”のように感じたのです。
更に興味がある方は下記の🔗リンク内で紹介した竹田恒泰チャンネル2 YouTubeも面白いですよー
【竹田学校】歴史・平安時代編⑤~最澄と空海~|竹田恒泰チャンネル2 一般Youtube 22分
📹最澄と空海の歴史解説|竹田恒泰チャンネル(YouTube)
下記はアップ済み 作品34:熊野那智大社 参道 水彩画のリンクとなります。
🔗【水彩画】雨と霧が織りなす幻想世界|熊野那智大社 参道(作品34)の世界遺産と古道の魅力 – 松藏七代 生活お役立ち部屋&趣味の部屋
次回予告:作品42「白川郷 合掌造りのある風景II」
41作目と同じくF10サイズで描き直した新作です。
日本の原風景と冬の空気感を描いた作品になりますので、
ぜひ楽しみにお待ちください。
下記は前回アップした40作目”天草・崎津漁港と世界遺産「﨑津教会」”を描いた水彩画のリンクとなります。
🔗【水彩画40作目】天草・崎津漁港と世界遺産「﨑津教会」を描く|心が洗われる癒しの風景画(F10号) – 松藏七代 生活お役立ち部屋&趣味の部屋

