心を清める熊野古道の旅路——水彩画で描く大門坂の静寂と祈り
【はじめに】
2022年から描き続けてきた「心が洗われるような癒しの風景画」シリーズ。その第36作目となる今回の作品は、紀伊山地の霊場として世界遺産にも登録されている熊野古道・大門坂を題材としました。
かつて熊野詣での参詣者が通ったこの石畳の道は、今も人々の心を静かに導くように、深い緑の中にたたずんでいます。
水彩画という繊細な表現技法を通じて、「歩く祈り」とも呼ばれる熊野古道の空気感をキャンバス上に描き出しました。
【作品について】
本作品はF4サイズで描かれた水彩画です。以前21作目の作品紹介で「F4サイズ最後の作品」とお伝えしていましたが、実際にはF10の作品も描きながら、39作目までF4サイズでも描いていました。40作目以降からは、より迫力のあるF10サイズへと移行しています。
36作目は、熊野古道の中でも特に人気の高い「大門坂」を歩くハイキングコースの風景です。
那智山の麓から、熊野那智大社、そして那智の滝へと続く約2.7kmのルートは、古代から変わらぬ神聖な趣を今に伝えています。
【大門坂の魅力】
大門坂の入口から那智大社までは、苔むした石畳が約1.3km続きます。両側には樹齢200〜300年を超える杉木立が並び、その中でも「夫婦杉」と呼ばれる巨木は樹齢800年とも言われています。
この杉木立は約200本が生い茂り、和歌山県指定天然記念物にも指定されています。
道を歩けば、古の旅人が踏みしめた石の感触が足裏に伝わり、風にそよぐ杉の香りが心を包みます。
この空間全体がまるで「祈りの回廊」のようで、自然と背筋が伸びる不思議な感覚に満たされます。

【制作への想い】
今回の作品では、「静けさの中に流れる音」をテーマにしました。
水彩の淡いグラデーションで表現したのは、朝の光に照らされた杉の幹、そして湿り気を帯びた石畳。
熊野古道を訪れた人だけが知る、霧と緑の匂い、遠くで響く鳥の声、そして心を包む静寂・・・そのすべてを筆先に込めています。
作品の奥行きを出すため、背景の杉木立には薄いブルーグレーも重ね、光が差す部分には透明感のある黄緑を採用しました。
石畳の濡れた質感を出すために、にじみにブラシ等を組み合わせ、自然な陰影を演出しています。
【熊野古道・大門坂の旅情報】
熊野古道は、和歌山県・三重県・奈良県を跨ぐ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録されています。
中でも大門坂から那智の滝にかけてのコースはアクセスが良く、初めて訪れる方にもおすすめです。
距離:約2.7km
標準歩行時間:約1時間(散策含めて2.5〜3時間)
おすすめルート:大門坂駐車場 → 大門坂 → 熊野那智大社 → 青岸渡寺 → 那智の滝
アクセス:南紀勝浦温泉街からバスで約15分
見どころ:夫婦杉、那智の滝、熊野那智大社、青岸渡寺の三重塔
熊野古道・大門坂の詳しい場所は、以下のGoogleマップをご参照ください。
参考リンク:
和歌山県公式観光サイト 公益社団法人 和歌山県観光連盟|熊野古道・大門坂
https://www.wakayama-kanko.or.jp/courses/detail_34.html
また、現地の雰囲気をより感じたい方には、以下のYouTube映像もおすすめです。
🎥 【熊野古道】大門坂の散策 : World Heritage Kumanokodo(Wakayama, Japan)
https://www.youtube.com/watch?v=Tbxq3nBCU20
🎥 【熊野古道#2】中辺路・大門坂~熊野那智大社と那智の滝 [世界遺産]
https://www.youtube.com/watch?v=RrMgMXzMAks
【癒しの風景を描き続けて】
Makuro7.comでは、これまでに事情により、欠番はあるものの、100作目迄の風景画を公開してきました。
自然が見せる光や季節の移ろいを描くたびに感じるのは、「風景は静かに人の心を整える力を持っている」ということ。
熊野古道のように、長い歴史を経て今も人々を迎え入れてくれる風景には、目には見えない“祈りの層”が存在します。
その深さを絵で表現できたなら——それがこのシリーズの目的であり、喜びです。
【終わりに】
この36作目「熊野古道・大門坂」は、描いている最中から心が澄んでいくような感覚を覚えました。
筆を置くたびに、石畳を歩く足音や、杉の葉の間を抜ける風の音が聞こえてくるようでした。
いつかこの場所を歩く方が、同じような癒しを感じてくださることを願っています。
そして、この作品が、日々の喧騒の中で一息つける「心の古道」となれば幸いです。
次回の水彩画作品の公開は、銀座4丁目風景 作品37 となります。お楽しみに!
下記は前回アップした34作目”熊野那智大社 参道”を描いた水彩画のリンクとなります。
🔗【水彩画】雨と霧が織りなす幻想世界|熊野那智大社 参道(作品34)の世界遺産と古道の魅力 – 松藏七代 生活お役立ち部屋&趣味の部屋

